CMC薬事とは?医薬品の品質保証の要となる専門業務を解説

CMC薬事とは?医薬品の品質保証の要となる専門業務を解説

医薬品が安心・安全な品質を保ち、患者さんの手元に届くまでには、さまざまな専門分野が力を合わせた複雑なプロセスが存在します。その中で薬事は、国内外の規制当局から製造販売承認を得るための重要な役割を担っています。

そして、その薬事業務の中でも、製剤品質に特化した専門的な領域として注目されているのが、CMC薬事です。開発薬事が新薬承認に向けた全体的な取りまとめ役だとすれば、CMC薬事は品質・製造・管理といった製薬の根幹を支える品質の要といえるでしょう。

本記事では、CMC薬事がなぜ重要なのか、どのような業務を行うのか、そしてキューズコンサルティングがどのようなサポートを提供できるのかをわかりやすくご紹介します。これから医薬品の承認申請や品質戦略についてお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

CMC薬事とは

薬と書類

医薬品を販売するためには、各国の政府機関から製造販売承認を取得する必要があります。この承認申請業務を担当するのが「薬事」です。特に、製薬業界のグローバル化に伴い、日本のPMDA、米国のFDA、EUのEMAなど、複数の規制当局への同時申請が増加しており、薬事の重要性は高まっています。

一般的に「薬事」という場合、新薬開発における承認申請の取りまとめを行う「開発薬事」を指すことが多いです。開発薬事は、承認申請に必要な臨床・非臨床データや品質に関する情報を集約し、日米EU共通の申請資料であるCTD(コモン・テクニカル・ドキュメント)を作成します。また、規制要件への適合性確認や、過去の申請事例を踏まえた承認取得のための戦略立案なども担当します。

一方、「CMC薬事」は、医薬品の化学的性質(Chemistry)、製造(Manufacturing)、品質管理(Control)に特化した専門的な薬事業務を担当します。開発薬事が承認申請全体の統括役として機能するのに対し、CMC薬事は医薬品の品質面における専門家として、より技術的な観点から承認申請をサポートします。

CMC薬事の主な役割

書類にサイン

CMC薬事は、医薬品の品質を科学的な観点から担保し、その内容を規制当局に対して適切に説明する重要な役割を担っています。開発段階から承認後まで、製品のライフサイクル全般にわたって、以下のような幅広い業務を行っています。

製剤開発・品質評価

製剤開発段階から承認申請に向けて、原薬および製剤の品質評価を行います。具体的には安定性試験の計画立案と実施、規格値の設定とその科学的根拠の作成などを担当します。また、製造方法の確立とその妥当性確認も重要な業務です。

申請資料作成と規制対応

CTDの品質に関する部分(Module 2.3および3)の作成を担当します。特に日本の場合、海外から導入する原薬・製剤について、海外の資料を翻訳し、日本の規制要件との整合性を確認します。必要に応じて追加データの取得や資料の修正も行います。

承認後の品質管理

承認取得後も、製造方法や試験方法の変更管理、規格値の見直しなどが必要になります。これらの変更について、軽微変更届出や一部変更承認申請などの適切な規制対応を行います。また、GMP適合性調査への対応や、外国製造業者認定の取得・更新支援なども行います。

社内外の調整業務

製造部門、品質管理部門、開発部門など社内の関連部署との連携や、規制当局とのコミュニケーション、海外の提携企業との折衝など、品質面での調整役としても機能します。

キューズコンサルティングのCMC薬事コンサルティング

ペンを持って説明するコンサルタント

医薬品の品質保証において、CMC薬事にはさまざまな専門的な業務が求められます。承認申請の準備から承認後の管理まで、製品のライフサイクル全般にわたって重要な役割を担います。

キューズコンサルティングでは、薬事コンサルティングの中でもCMC薬事に関して、以下のような業務に関するサポートが可能です。

CMC申請戦略助言

医薬品の承認を得るための品質面での戦略を立案するサポート業務です。新薬やジェネリック医薬品の承認申請において、最適な製造方法の選択や品質規格の設定方針について助言を行います。過去の承認事例や現在の規制動向を分析し、それらを活用した戦略提案を行います。

特に海外で承認された医薬品を国内に導入する際には、日本の規制要件に合わせてどのような追加データが必要かといった判断も含め、規制当局との相談における論点整理までサポートします。

申請資料(品質パート)作成・レビュー

承認申請に必要な品質に関する文書を作成し、その内容を確認する業務です。製造方法の詳細な記述、規格試験の内容、安定性データの評価など、品質に関するさまざまな情報を規制当局が理解しやすい形で文書化します。

これは単なる書類作成ではなく、科学的な妥当性を持って説明できる資料を作り上げる重要な作業です。また、各種データの整合性確認も欠かせない作業となります。

製造方法や規格及び試験方法の変更管理業務支援

医薬品の製造工程や品質試験の方法を変更する際のサポート業務です。製造機器の更新や試験方法の改良など、さまざまな変更について、製品品質への影響を評価します。

変更に必要な検証試験の計画を立案し、その変更が軽微な届出で済むのか、あるいは承認申請が必要となる重要な変更なのかを判断します。また、その判断に必要な裏付けデータの取得計画も立案します。

照会事項の回答作成の助言・面談のサポート

規制当局からの質問に対する回答を支援する業務です。PMDAなどから品質面での技術的な質問を受けた際、科学的な根拠に基づいて適切に説明できるよう、回答の作成をサポートします。また、対面での説明が必要な場合には、説明資料の作成から実際の面談での説明まで、一貫したサポートを提供します。

承認書のメンテナンス支援

承認された内容に変更が生じた際の手続きを支援する業務です。製造工程の軽微な変更は「軽微変更届出」として届け出を行い、より重要な変更の場合は「一部変更承認申請」として改めて承認を得る必要があります。それぞれの手続きに必要な資料の作成や、承認書の記載整備、変更履歴の管理なども行います。

GMP適合性調査関連業務支援

医薬品の製造品質管理が適切に行われているかを確認する調査への対応を支援する業務です。新しい製造所での製造開始時には初回GMP適合性調査が、その後は定期的なGMP適合性調査が必要となります。

また、海外の製造所が日本向けの医薬品を製造する場合には、外国製造業者認定の取得や更新が必要となります。これらの調査や認定に必要な資料の作成から、実地調査への立会いまでをサポートします。

CMC薬事ならキューズコンサルティングにご相談ください

製品の品質戦略立案から承認申請資料の作成・レビュー、変更管理手続き、当局とのやり取り、そしてGMP適合性調査への対応まで、CMC薬事は医薬品のライフサイクル全体を通じて品質と信頼性を確保するための要となる領域です。新薬開発を担う開発薬事とは異なり、CMC薬事は製剤そのものの品質設計や安定供給体制の整備を土台から支えることで、医薬品が市場に出てからも患者さんへ安心・安全を届ける基盤を構築します。

キューズコンサルティングは、これらのCMC薬事業務において多面的なサポートを提供しています。グローバルな規制動向や最新のガイドラインへの知見を活用し、貴社がスムーズに承認取得・維持を進められるよう、戦略立案から書類作成、規制当局対応まで一貫した支援が可能です。新薬やジェネリック医薬品、海外からの導入品など、さまざまなケースに応じた柔軟なアドバイスで、品質面の課題解決へと導きます。

CMC薬事に関するご相談や、より具体的なサポートが必要な際には、ぜひキューズコンサルティングまでお問い合わせください。貴社のニーズに合わせた最適なサポートを通じて、確実な品質確保と円滑な承認・維持取得を実現いたします。