開発薬事とは?新薬開発を成功に導くカギを握る
医薬品開発は、患者さんの命と健康に直結する取り組みです。その成功には、科学的な研究開発はもちろん、薬事規制に則った適切な開発プロセスの管理が不可欠です。
本記事では、医薬品開発における「開発薬事」の役割と重要性について解説します。あらためて開発薬事とは何か、どのような業務が含まれるのか、そして医薬品開発の成功にどのように貢献するのか。
さらに、開発薬事における課題解決に向けた当社キューズコンサルティングのサービスについてもご紹介します。
開発薬事とは
医薬品開発において、研究開発から承認取得までのプロセスを薬事規制の観点から管理する専門領域です。新薬の開発では、患者さんの安全性を最優先としながら、科学的なエビデンスに基づいて有効性を実証し、規制当局の承認を得ることが求められます。
開発薬事は、非臨床試験から治験の実施、承認申請に至るまでの一連の過程において、薬事規制への適合性を確保しつつ、効率的な開発を実現するための役割を担っています。治験実施計画の立案、承認申請戦略の策定、規制当局との折衝、申請資料の作成など、医薬品開発の成否を左右するさまざまな業務がその対象です。
医薬品開発を取り巻く環境は急速に変化しており、開発期間の短縮化や国際共同開発の増加、革新的な治療法の出現など、開発薬事に求められる専門性は年々高度化しています。このような状況下で、適切な開発戦略の立案と実行は、医薬品開発の成功における重要な鍵となっているのです。
開発薬事の主な役割
開発薬事の主な役割は、大きく3つに分類できます。それが、治験計画の立案・実施、承認申請・PMDA審査対応、そして開発戦略の立案とスケジュール管理です。それぞれの役割について、詳しく説明していきましょう。
治験計画の立案・実施
治験計画の立案・実施は、新薬候補が実用化にふさわしい効果や安全性を持つかどうかを確認する根幹的なプロセスです。被験者の安全性を最優先としながら、医薬品の有効性を適切に評価できる治験実施計画を策定していきます。
具体的には、治験実施計画書の作成や治験薬概要書の作成といった重要な作業を担当します。また、当局のガイドラインや倫理指針、国際的な規制要件への適合も必須です。そのため、開発薬事担当者は関係各所と緊密に連携しながら、治験届の作成・提出や適切なモニタリングの実施に取り組んでいます。
承認申請・PMDA審査対応
承認申請・PMDA審査対応では、治験で得られたデータを基に承認申請資料(CTD:コモン・テクニカル・ドキュメント)を作成し、PMDAへの申請および審査への対応を行います。日米EU共通の国際共通化資料であるCTDは品質、非臨床、臨床の各パートで構成され、その作成には各部門との緊密な連携が不可欠です。
また、PMDAからの照会事項への回答作成や面談対応を通じて、申請品目の特性や開発の妥当性について説明を尽くし、承認取得を目指します。
開発戦略の立案とスケジュール管理
開発戦略の立案とスケジュール管理は、製品開発全体を円滑に進めるうえで欠かせない役割です。新薬開発は多くのステークホルダーが関わり、臨床開発、製剤設計、品質管理など多岐にわたる業務が同時並行で進行します。
開発薬事担当者は、それぞれのフェーズで必要となる規制要件や当局との交渉のタイミングを見極め、最適な順番とアプローチを計画します。場合によっては海外開発との並行調整や、国際的な承認取得を見据えた戦略立案も求められるため、最新の法規制やガイドラインを踏まえた形で全体のスケジュールを管理し、社内外と綿密に連携してプロジェクトを推進することが必要です。
キューズコンサルティングの開発薬事コンサルティング
キューズコンサルティングの開発薬事コンサルティングでは、薬事コンサルティングの中でも医薬品開発における各フェーズで生じる課題に対して、豊富な実務経験と専門知識を活かしたきめ細かな支援を提供しています。
開発戦略の立案から承認申請まで、以下の5つの領域において、クライアントのニーズに応じた最適なソリューションを提案します。
開発戦略の立案支援
開発の初期段階から承認取得までの最適な道筋を提案します。製品の特性(新規性、有効性、安全性プロファイル等)や対象市場(疾患領域、競合状況、医療ニーズ等)を綿密に分析し、実現可能な開発計画を策定。
非臨床試験の選定、臨床試験の相と規模の設定、開発期間と費用の見積もり、想定されるリスクの特定と対策など、開発全体を見据えた戦略を構築します。
とりわけ、革新的な医薬品(先駆的医薬品、条件付き早期承認品目等)や希少疾病用医薬品では、制度の特徴を活かした最適な開発アプローチを提案します。また、グローバル開発を視野に入れた場合の開発戦略についても、各国・地域の規制要件を踏まえた助言を提供することが可能です。
非臨床・臨床試験計画の助言
非臨床試験では、安全性薬理試験、毒性試験、薬物動態試験など、必要な試験項目の選定から試験デザインの詳細設計まで支援します。
臨床試験では、試験の目的に応じた適切な試験デザイン(対照群の設定、割付方法、評価項目の選定等)を提案し、統計的な考察も含めた総合的な助言を行います。
治験実施計画書では、選択・除外基準の設定、用法・用量の設定、評価スケジュールの策定、中間解析の実施判断基準など、試験の質を確保するための重要な要素について詳細な検討を支援。
また、治験薬概要書では、非臨床・臨床データの適切な記載方法について助言を提供します。
CTD作成支援
CTD作成支援においては、承認申請資料の効率的かつ質の高い作成をサポートします。品質・非臨床・臨床の各パートについて、データの評価や考察の記載方法、全体構成の調整まで、実践的な知見に基づいた支援を提供しています。豊富な審査事例を踏まえた助言により、説得力のある申請資料の作成が実現するでしょう。
規制当局相談の準備・同席
対面助言等の規制当局相談において、相談事項の選定から相談資料の作成、当日の対応まで一貫した支援を提供しています。相談資料では、背景情報の整理、開発の経緯、相談事項の論点整理、将来の開発計画案など、効果的な相談実施に必要な情報の網羅的な準備が肝心です。
また、想定される質問への回答案を事前に検討し、社内での準備検討会も含めて、相談当日の対応を万全にすることが必須でしょう。相談当日は同席して議事録の作成を支援し、助言内容を正確に記録します。相談後は、得られた助言を開発計画に適切に反映できるよう、具体的な対応方針の検討もサポートしています。
照会事項対応支援
対面助言等の規制当局相談において、相談事項の選定から相談資料の作成、当日の対応まで一貫した支援を提供しています。相談資料の準備では、背景情報の整理、開発の経緯、相談事項の論点整理、将来の開発計画案など、効果的な相談実施に必要な情報を網羅的に準備することが必要です。
相談に向けては、想定される質問への回答案を事前に検討し、社内での準備検討会も含めた入念な準備が欠かせません。相談当日は同席のうえ議事録作成を支援し、助言内容を正確に記録。相談後は、得られた助言を開発計画に適切に反映できるよう、具体的な対応方針の検討まで一貫したサポートを行っています。
開発薬事ならキューズコンサルティングにご相談ください
医薬品開発において、開発薬事は承認取得の成否を左右する重要な役割を担っています。治験計画の立案から承認申請対応まで、的確な判断と迅速な対応が求められる中、豊富な実務経験を持つ専門家の支援は、開発の成功確率を高める大きな力となるでしょう。
キューズコンサルティングは、開発戦略の立案から承認申請まで、開発薬事に関する包括的なコンサルティングサービスを提供しています。クライアントの製品特性や開発段階に応じて最適なソリューションを提案し、円滑な開発の推進と確実な承認取得をサポートします。